世界で一番嫌いな君へ
光ちゃんが私に彼氏を作らせたがるのは、こう言うのを悪いと感じてるからだと思う。
私は、案外一人でも平気なんだけどね。
それに、私にも実は積極的になれない理由と言うか、そう言うのがあったりする。
なんて事ない、今思えば大した事じゃないほんの些細な昔の話。
だけどその小さなハードルが、私を中々、前に進ませてくれない。
「あ、居なくなっちゃった」
ふと気が付いて、何処にも合っていなかった視界のピントを合わせると、
先輩はどこかに行ってしまったようで、姿が見えない。
「うーん、どうしよう暇だ」
「ほう、それは丁度いい。長谷川、ちょっと頼まれてくれないか」
え・・・?
たまたま通りかかったらしい先生は、効果音がつきそうな勢いで振り返った私に、
実に嬉しそうに微笑みをくれた。