世界で一番嫌いな君へ
「こらこら、早くはじめないと」
「っえ!?」
てっきり一人だと思っていた私は、盛大に肩を跳ね上げた。
それを見て笑ったのは思いもよらない人物で、私はそのまま固まってしまう。
不思議そうに顔を覗き込まれ、慌てて体ごと視線を逸らしてみたものの、
結局状況が理解できずに、向き直って尋ねるはめに。
「なっ、何でこんな所に居るんですか?」
「あー、一人じゃ足りないからだってさ」
先生、先生ありがとう。私どこまでも着いて行きます。
どう言う経緯で部活があるはずの先輩なのかは分からないけれど、
助っ人だけでも嬉しいのに、更にそれが常盤先輩だなんて、経緯くらいどうでもいい。
私の気持ちなんて知らない先輩は、愚痴を零しながらもさっさと資料を整理していく。
どうやらこれが初めてではないようで、驚く程手際がいい。