End of the transmigration of souls■Chapter1■
歩いて港へ向かった。うん。港へ向かったの。 高速船じゃないとアークティクには行けないって。



「忘れてたァー!……船嫌だ…船恐い……」



━━━大丈夫!長時間は乗らないから!また寝てればいいだろ!



チケット売場の横で乗りたくないとしばらく駄々をこねていた。 回りの人間にはあたしと師匠のやり取りは見えていないのであたしの独り言にしか見えないのだろう。異国の軍服で、しかも独り言で。物凄く冷たい視線を感じた。



「あの…………お客様…?どちらまで……?」
「レ……レイニアまで……」
「お急ぎください。まもなく出航いたします」
「……どのくらいで着きます?」
「2時間程度でございます」



心の準備が………。 あまり長時間じゃないと言われても……。2時間って長いじゃないか…。師匠……2時間だよね?案の定この2時間はずっとトイレとお友達状態だった。



━━━背中さすってやろうか?無理だな。 着いたらちゃんと自分で歩いて出られるか?抱えてってやろうか? あー!どうしても無理だって事忘れちゃうなー!



「ちょっと………」



━━━どうした!?水が欲しいか!?



「黙ってて…うるさい……。うぅッッ………」



━━━あー!…………何もできないって
嫌だな…。



嫌というか、今のあなたは非常に情けないです…。でももっとあたしの方が………情けないです。 トイレに浮遊霊と2人とか……。ありえない………。



━━━イセルナ? リラックスすれば少しは楽になるぞ? ちょっとカラダ冷やしてみるか?



「………?」



悪い予感がする。なんか寒い………。



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