End of the transmigration of souls■Chapter1■
「………ッッ!」
「待て、逃げんな!オイッッ!イセルナ!」
「……………ゼファ…。なんで……」
「なんでじゃねぇよ!それはこっちの台詞だ!なんで逃げんだよッッ!?」
「なんですぐにあたしだってわかるのよ!?」
「わからねぇわけねぇだろッッ!」


………9年ぶりだった。


どれ程彼に逢う事を待ち望んだだろう。どれ程彼に逢う事を拒んできただろう。
どれ程逃げた事を後悔してきただろう。


しかし、こんなに姿形の変わったあたしを何故こんなにも疑い無くあたしだとわかったのだろう? シュライクの奴……。あんだけ口止めしたのに言っちゃったの?咄嗟に家を飛び出してきちゃったけど、また引き返してシュライクを問い詰めた。けど、シュライクは特に余計な事は言っておらず、ゼファ自身があたしの一部始終をこの9年間色々と調べ上げていたのだ。ただひたすらあたしの死を認めず、あたしの帰りを待ちながら……。


それは凄く嬉しかった。でも凄く悲しかった。あなたはどんな気持ちで9年も待ってたの……?


ゼファは帰ろうと言ってあたしの手を引き、シュライクの家を後にした。


「………ゼファ…。離して……」
「嫌だ」
「痛いから離して……」
「嫌だ」
「………あたしを怒らないの?」
「なんで怒る必要があるんだよ?」
「だって……勝手に死んだし。勝手にどっか行ったし…」
「もうお前に待たされんの慣れてっから怒る気も起きねぇんだよ」



やかましかったり、ぶっきらぼうだったり、昔と全く変わらないままの ゼファなのに……。前よりも長い銀髪にしなくなった黒髪。少し高くなった肩の位置。心なしか広くなった様に感じる背中。後ろから見る姿はまるで別人の様だった。



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