End of the transmigration of souls■Chapter1■
「ごめんね………」
「なんで謝るんだよ」
「寂しかった?」
「あぁ」
「心配した?」
「あぁ」
「悲しかった?」
「もう何も言うなよ」


そう言ってゼファはしっかりとあたしの手を握って離さなかった。


今ゼファが住んでいるという家に着いた時にはもう既に日は沈んでいた。ドアを開けて暗い部屋に入った。

「何やってんだよ。早く入れよ」
「………うん」


一緒に住んでた事あるのに。なんとなく入るのが照れ臭かった。前はこんな風に思った事があっただろうか?24歳のいい大人が頬を少し赤らめながら玄関にある鏡越しに立っていた。


言いたい事は山程あるのに。
話したい事が山程あるのに。
それでも………、一番に今伝えなくては
いけない事。 それは………


「ゼファ………」
「…………!?」
「ゼファ……。会いたかったよぅ………」


もう離れたくない。
離したくない。
しっかりと抱き締めて今の気持ちをこの一言にすべて吹き込んだ。
むしろこれだけで十分すぎるくらいだった。


「イセルナ………。おかえり」
「ただいま……」
「大人になったな。チビだけど」
「うるさい。ゼファはなんか老けたね」
「苦労したからな……」
「そっか………。でも…でも………。やっぱりゼファだぁ……」


ゼファもあたしをきつく抱き返した。すべての不安を掻き消すように。もう何も恐くない。あなたさえいれば………。 離れてみて初めて感じた。あたしにはあなたが必要なの。寝ても覚めても、一番最初に想うのはあなたの事ばかりだった。



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