End of the transmigration of souls■Chapter1■
「イセルナ」
「なに?」
「黙って聞いてくれ」
「だから何?」
「もう俺が居ない時は外へ出るな」
「急に何言ってんの?」
「もう気付いてんだろ?」
「………………?」
「急激に体力が落ちていってること」
「…………………」
「………やっぱり。なんで言わない?どこまで自分でわかってる?」
「……………あたしはもう長くない」
「絶対に怪我をしない事」
「?」
「延命処置はもうそれしかないらしい。」
「アレクトとそれを話してたの?」
「あぁ。怪我をしても、もう再生機能は
働かないそうだ。傷を治すことも出血を止めることもできない。一歩外へ出れば
最近は反ヴァリーフォージ派がうろうろしてる。富裕層の人間は無差別的に元ヴァリーフォージの人間だと判断して攻撃してくる。今のお前には危険すぎる」
「じっとしてたってどれだけ長く生きれるか……」
「これ以上治らない怪我負うよりはいいだろ?」
「一般人相手にまともに食らったりしないでしょ?」
「今のお前に以前と同じように戦えるか?実際に痛い目見ただろ」
「……………」
「お願いだ……。こればっかりは俺の言う事聞いてくれ」
「生きる事は…、死ぬ事よりもよっぽど難しいな………」
「?」
「昔死んだ時はあまりにもあっけなかった。あたしはかなり自信過剰だった。 あんな戦場に出たって自分は死ぬわけないと思った。目の前で兵士が何人も殺られて、あいつらは軍の恥とすら感じた。何の為に戦場へ来たんだ?けど自分はもっと恥さらしだった。ずっと味方だと思ってた奴が神族のスパイだった事も見抜けないで相手に一撃も食らわす事なくあっさり殺された。 生まれて初めて味わう
挫折だった。人であるアンザックの方がよっぽと……。その後も姿形が変わってまで生かされ続けるのが苦痛でしかたなかった。あたしの為に命を落とした人の影を背負いながら生きなくてはいけない。ゼファに会う自信もなかった。本当は………戦うって行為が恐くて仕方ないんだ。またあっけなく死ぬんじゃないかって
不安なんだ…」
「だったら………」
「おとなしくしてるよ」
「ありがとう……」
「でも……、あたしもうあっけなく死ぬのは嫌だ。何もしないで死ぬのなんて嫌だ」
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