End of the transmigration of souls■Chapter1■
あの会話をして2日後。その日はやってきた。


「ヤバイ!早くしないと子供も危ない!」
「アレクト……後は頼んだ…」
「任せなさいって!」
「イセルナ……」
「………。………………ッ」
「………ん?どうした?」


━━━神楽……。
最後くらいはちゃんと本当の名前で呼ばせてね?生まれてくるのはきっと女の子だよ。名前はライア。きっと……、あんた達2人をしっかり支えてくれるから…。これから3人でしっかりやってね……?


「…………わかった……」
「ゼファ!もういいか!?限界だ!」
「あぁ………」


昔ヴァリーフォージの医科学部が使用してた手術室であたしは息を引き取った。


30歳だった。でも、実際に生きたのは23年。死ぬのはこれで2度目。結局なんの役にも立たなかった対神族用兵器だった。試作型ならこんなもんなのかもしれないけれど、役に立たない代わりにあたしは人間になる事が出来た。対神族用兵器、試作型IS-LUNA TypeAで最終的に出た実験結果。

『ホムンクルスは人間と同じ様に感情に左右される生物である』

人間と同じ幸せ、人間と同じ喜びをたくさん知った。人間とは、時には最強とも言える生き物であり、時には最弱にもなりうる生き物。そんな博打の様な生き物の真似事をしたのがあたし。対神族用兵器として造り出されたホムンクルス。



ごめんね……ファルクス。 あんたにもう何も
教えてあげることができない。ごめんね……ライア。 たった今産まれてきたあんたをあたしの手で 抱いてあげることもできない。


神楽…… 。あたしの最後の頼みを聞いてくれてありがとう……。 あんたのおかげて あたしは人間になる事ができた…。


肉体が滅んでも、いつまでも見守ってるから…。だからお願い………。悲しまないで…。



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