End of the transmigration of souls■Chapter1■
集中できない苛立ちと、最近の師匠への苛立ちで気持ちの行き場がなくなっていた。稽古中の厳しさとは違い、稽古を終えて今まで通りの優しい師匠にすぐ戻ることにも戸惑う自分がいた。



「イセルナ?」
「……何?」
「お前…まだ気にしてんのか?」
「何の?」
「んー……。だからー…朝の事とか、稽古中の事とか…」
「…気にしてないよ」
「そーかッッ!ならよかった…」



そう言って師匠はコツンと自分の額とあたしの額をぶつけてきた。



「……ッッ!だからッ!そーゆうのやめてってば!……もう子供じゃないんだから…」
「…………」



師匠はきょとんとした顔であたしを見るとすぐにニコッと笑って軽く頭をポンポンした。



「そーだよなァー。お前ももうそーゆう年だよなー。わかったわかった!気を付けるよッッ」
「……………」



なんとなく照れくさそうに師匠は言った。少し居心地が悪い気がした。息苦しい気がした。今すぐこの場を去りたいと思った。でもまだ居たかった。ここに居いという気持ちがまるで当たり前かの様に勝っていた。



「今日は早く帰らなくてもいい日?」



歯止めも利かず口から漏れるように出た 言葉だった。



「ん?あぁ……悪いな。今日も夜出かけなくちゃいけないんだよ…」
「………あっそぅ」



行くなと行っても行くのがわかるのでそれ以上は言わなかった。


「バカ………」
「なんか言ったか?」
「別に………」



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