End of the transmigration of souls■Chapter1■
夕焼け空が星空に変わってからやっと博士の小屋へ帰る気になった。元の道へ戻ると見慣れた人影が見えた。



『師匠?今から出かけるの?』



師匠は急ぎ足で
下山してった。



『街へ行くの?いつも街に用事があるの?』



尾行だなんて趣味ではないが気になって仕方なかった。気づかれないように
気を静めながら後を追った。でも今思えば、どんなに気を静めても師匠なら気づいていたのかもしれない。



徐々に道が明るくなっていった。下山したのはこれが初めて。明かりのない山の中と違って街は明るくて 、華やかで、賑やかだった。 街の人々はみんな変わった服装をしている。



師匠はどこへ行ったんだろう?しばらく辺りを見回すと誰かと話していた。



『………誰?』



よく見ると師匠と同じくらいの年の綺麗な女の人だった。その女の人と話す師匠今まで見たことのない様な師匠だった。あたしにはあんな表情で話してくれない。あんなのただの『男』だ……。



『ふーん………そーゆうことか』



それを目にしたら尾行する気も失せて今度こそ博士の小屋を目指して歩き始めた。 朝の苛立ちは今見た光景で一瞬にして晴れたのに、苛立ちと引き換えに苦しさが増してった。



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