End of the transmigration of souls■Chapter1■
もうだいぶ遅い時間なのに。小屋に着いても研究室にはまだ博士はいなかった。 もうしばらく博士を見ていない。あたしが寝た後に帰ってきて起きる前に出て行くのか、それともずっと帰ってきてないのか、 それすらもわからない。
あたしは1人だった。師匠も知らない女の人といる。なんだかすごく悲しかった。


気づかないうちに眠ったらしく、しかも寝坊していた。 マズイと思いつつも、急いで師匠の元へ行く気にはなれなかった。 今日もどうせまだ寝てるんだろうと思ってしまう。だって昨日見ちゃったんだもん。師匠の嬉しそうな顔。だったらいっそのこと昨日見たものは夢で、寝坊して遅刻して怒られた方がよっぽど今のあたしには良かった。


いつもよりダラダラとゆっくり歩いた。師匠の家が見えた瞬間もう帰りたくなった。 家が見えてから扉を開けるまでの道程がいつもの倍以上に思えた。



ガララララ。



扉を開けるとやっぱり思った通り師匠はまだ夢の中だった。



「師匠………」



今にもかき消されそうな声で呼んだ。それ以上言葉が出てこない。まぁいい。また食事の準備が終わったら起こそう。そう思って師匠の寝床から離れようとした。



「イセルナ……」
「………ッッ!?」



師匠は布団に潜ったまま手を伸ばしてあたしの腕を掴んだ。



「お…起きてたの?」
「悪い。今日は無しだ…」
「……え?」
「無し…」
「……どうして?具合でも悪い?」
「いや…そんなんじゃない」
「……じゃぁ……。ううん、やっぱいいや。わかった。今日は稽古は無しね。食事は?用意して行こうか?」
「今日はいいや」
「わかった。それじゃあ…帰るね」
「…悪いな…」



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