End of the transmigration of souls■Chapter1■
これからどうしていいのかあたしにはわからなかった。 なんだか博士の小屋に帰るのが恐かった。 研究室が恐かった。 1人が恐かった。



「ねぇ…師匠」
「ん?」
「あたし…ずっとおかしいと思ってることがあるの…」
「何が?」
「師匠は小さい頃の記憶ってある?」
「どれくらい小さい頃の?」
「7歳よりもっと小さい頃の…」
「だいぶ昔だからそんなに覚えてないけどな」
「そっか…。でも少しは覚えてるってことだよね?」
「あぁ少しはな………」
「………あたし、7歳よりもっと昔がない…」
「……………」
「あたし全部、7歳の時研究室で寝てて、目が覚めて、そこからの記憶しかない」
「………もう言うな」
「え?」
「考えてたってきりがない。だからもう言うな。この話はやめだ!」
「……わかった。でもなんでだろう?恐い…。あたし研究室が恐い。あの家が恐い……。暗くて…誰も居なくて…」
「だったらここに居ればいい」
「……え?」
「俺もお前を1人で帰すわけにはいかないからな」
「……いいの?」
「あぁ。朝来て夜帰る手間が省けて楽だろ?」
「………うん」




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