End of the transmigration of souls■Chapter1■
無理だった。抑えてはいられなかった。こんなに悲しそうにしている師匠をそのままにしてはおけなかった。たかが13歳の子供でも少しはそれを紛らわせてあげられたら……。そんな思いでそっと抱き締めた。もしかしたらこれは恋ではなかったのかもしれない。子供が親や兄弟を独占したい気持ちと変わらなかったかもしれない。悲しい顔をする家族を心配する気持ちと変わらなかったかもしれない。それでも、大好きで大切な人には違いないから…。



「なぁ……ここから出ようか…」
「…え?」
「ここから出てアークティクに行こうか?」
「師匠が昔いた所?」
「うん。俺は騎士団に戻る。イセルナは今まで通り俺のそばに居ればいい。そうすれば美味しい物もたくさん食える。いい服もたくさん着れる。ちゃんとした剣が欲しければいくらだって手に入る。やりたい事あればなんだって自由にやればいい。………悪くないだろ?」



悪くない。悪くないけど………。



「あたし……師匠が居れば何もいらない。だから…だから……」



なぜか涙が溢れ出した。これから先もあたしは師匠のそばに居てもいいんだ。ちょっとした安心と、大きな期待と、ほんの少しの不安。師匠がどういうつもりでこんな事を言ったかはわからないけれど、あたしは幸せだった。この幸せがずっと続いていくと思っていた。



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