End of the transmigration of souls■Chapter1■
師匠は兵士達に目を向けた。



「来いッッ!」



本気で戦う師匠を見るのは初めてだった。 見えないほどのスピードで斬りかかり、 たった1人であっという間に何人も倒してしまった。それでもまだ次から次へと兵士が出てくる。きりがない。しかし、それに見入った事があたしの罪。



「てこずらせやがって!」
「………えッッ!?」



後ろに別の兵士が回ってることに気づかなかった。



「イセルナッッ!」



その一瞬の隙に師匠は数発の弾を受けてしゃがみ込んだ。あたしも戦うつもりだった。もう戦えるのはあたししかいない。自分も剣を抜こうとした時…



「イセルナッッ!」
「………師匠」
「これを持って逃げろ!船着き場だ!船着き場まで行け!」



そう言って師匠は自分の剣をあたしに投げた。家宝である自分の剣を……。



「師匠も一緒に…………」
「俺はここでこいつらを引き留める!」



無理に決まっていた。一般人がヴァリーフォージの連中とまともに戦うことなんて。負傷して…ましてや剣を手放したらいくら師匠でももう終わりだ。 相手は飛び道具もある。どこに居たって攻撃される。奴らは鼠の様にどんどん湧き上がる。あたしだって逃げても無駄かもしれない。それくらい幼いあたしでもわかった。戸惑ってるうちに師匠は何人もの兵士達に取り押さえられ、姿が見えなくなった。



「何してんだよ!早く行けよッッ!」
「うぅ………ッッ」



師匠の声が響く。剣を抱えてあたしは走り出した。


師匠…。ごめんね… ごめんね……。


泣きながら必死に走った。 振り返ったらダメだ…!自分に言い聞かせながら…。




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