End of the transmigration of souls■Chapter1■
あたしはまたいつもの夜に戻る。



「………?」



立ち上がろうとしたあたしの腕をゼファが掴んだ。



「どうしたの?まだ何かある?」
「居なくなるなよ」
「………え?」
「また居なくなるつもりなんだろ?」
「だって……」
「ここに居れば……自分で居場所を探さなくてもいいだろ?」
「…………」
「ここに居ろ」



一体何が起こっているの? なんでこいつはいつになくこんな真面目な顔をして言うの?



「なんで…?なんでそんな事言うの?」



その言葉に答えるようにゼファはあたしを抱き寄せてキスをした。あの日以来、キスくらいは日常的になってたけど、どれも薄っぺらいものでただの挨拶と変わらなかった。でも今日のは違った。あの時と同じ……いや、それ以上に………



「行かないでくれ…」
「ゼファ…?」
「居なくなるだなんて言うな。ここならお前はお前でいられる。違うか?」
「…………。じゃあ………、朝まで逃げないように閉じ込めといてよ…」



今度は引き止めるのではなく繋ぎ止めるようにキスをした。あぁ………… なんかもうこのまま目を覚まさなくてもいい様な気がしてきた……。



「オイ………。……この……バカ…」



どこか遠くでゼファにバカって言われた気がする。



何故だろう?人としての感情も何もかもあの時あの場所に置いてきたはずなのに……。あたしは自分のすべてを知る為に
わざわざヴァリーフォージの狗になったのに。それなのに…………、あたしじゃないあたしがここにいる……。ねぇゼファ?……あんたのせいなの?




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