End of the transmigration of souls■Chapter1■
「おいガキッッ!そこ動くなよ!」
「???」



博士じゃない別の誰かの声が聞こえた。
声と同時にあたしの体が宙に浮いた。
びっくりしてあたしは目をつぶった。



「…………ッッ!?」



物凄い速さと物凄い音。
何の音だかわからない。



「大丈夫か!?危なかったな…」
「?」
「……気づかなかったのか?」



なんのこと?
そっと目を開ける。
そこにはあたしを抱えた大剣を持った15、6歳の少年がいた。



「お前の後ろにコイツがいたんだ」
「?」



少年が指差した先には大きな獣が横たわっていた。
初めて見たものに唖然としてしまった。
だってあたしの知ってる生き物はあたしと博士だけだから。



「なにこれ?」
「虎。見たことないのか?」
「はじめて。おっきいおとがした。なんのおと?」
「音?なんか音聞こえたか?」
「びゅっ!どん!ぎゃー!っておと」


虎なんかよりも、今まで音のない世界に
いたせいか一度にいろんな音が聞こえて驚いた。
そして自分と博士以外の生き物にも。
人間にも……。



「虎斬った音だろ?…ごめんな。あんまお前みたいなガキに見せたらいけない光景だな。音だけで見てなかっただろ?」
「うん。おとだけ」
「そーか!それならよかった!ってか、なんでこんな所にいるんだ?危ないぞ?
……迷子か?」



ここがどこだかわからない。
今までいた小屋が
どこだかわからない。



「あっち。ちっちゃいおうち。でもどこだかわからない」
「……あっち?ちっちゃいおうち?」
「うん」
「………あいつ…なんで…」
「?」
「……悪い。なんでもないよ。そーだ
!お前名前は?」
「なまえ?」
「あぁ!俺はライアット!」
「らいあっと?」
「そうだ。お前は?」
「いせるな」
「イセルナか!じゃあ、家の側まで送ってやるよ」



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