恋と幽霊
夜になって男は母親から
ありったけの十円玉をもらい


コンビニの前の公衆電話へと走った。



だが公衆電話は
家の電話が使えなくなった人で


長蛇の列。


ケータイもなかったあの時は
(エヴァのシンジも公衆電話使ってた時代)


人々は公衆電話に頼る他なかったのだ。



やがて順番が来て
男は女の子に電話をするのだが


つながらなかった。


肩を落して電話から離れる男。



「気を落とすなよ」


そう言ってくれる後ろに並んだ人の
気遣いが


男の悲しみにさらに拍車をかける。





冷え込みもきつい夜で
男の吐く息も白い。


男は冬の空にただただ
女の子の無事を祈っていた。
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