恋と幽霊
やがて女の子の住む街に着くと
住所を頼りに女の子の家へと急ぐ。


バッグの中に入っているお菓子が
歩くたびに揺れている。


女の子にあったら
まっさきにお菓子をあげよう。


だってずっとお菓子なんて食べてないかもしれないから…




まだあちこちにひび割れたビルが見える。


だが人々の顔は明るく
男の心にも少しだが希望の灯がともる。





早く…



早く会いたい…





やがて女の子の家のあたりまで
近づいてきた。




だがそこは…




あたり一面野原だった。




家なんてどこにもなかった。




下を向く男。



どこにもいない。



いったい女の子はどこに行ってしまったんだ?




小学生の男の身には重すぎる現実。



バッグの中のお菓子が
かさっ…と音をたてた。
< 17 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop