恋と幽霊
幽霊はかわいらしい微笑みを浮かべ
依然としてそこに立っていた。




つぶらな瞳。





肩まで伸ばした黒髪。





この幽霊は女の子なんだろうか?





よく見ると




ランドセルを背負って
胸には名札まで付いている。




この情報を総合すると
男の枕もとには



小学生の女の子の幽霊
が立っていることになる。



結婚前の男の前に立つ
小学生の女の子の幽霊。



顔は少し微笑んでいる。



幽霊だが
邪悪さは微塵も感じられない。




男は頭を抱えてしまった。



なんで俺にこんなものが見えるんだ?




何故だ?



それにこの女の子の幽霊は
何の目的でここに立っているんだ?




次々と男の頭の中に浮かぶ疑問。



疲れた俺の頭が作り出した
幻想なのか?



それとも本当の心霊現象なのか?



男は考える。



分からなかったら尋ねよう。



聞こう。




そう。




目の前の幽霊に。

< 2 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop