先輩が死ぬ時
死にたがりには理由がある
−−僕には、死にたがりの先輩がいた−−


「私は死にたいの」

先輩はいつも顔を合わすとそう言っている変わり者だった。

僕は決まって「じゃあ死ねばいいじゃないですか」と言うと、先輩はいつもニヤっと笑って、
「私は美しく死にたいの。手伝って」
と返す。

「今日は何ですか?」

僕はそれがいつも楽しみで仕様がなかったため、進んで参加を承諾する事にしていた。

何故なら、彼女の行為はいままで成功した事がなかったためその日もエンターテイメントのつもりでいた。

文芸部、とは名ばかりで、まったくと言っていいほど活動の気配のない部室で先輩はちゃっちゃっと準備を始めた。

「ああ、今日は焼身ですか。成功すればいいですね」
と僕が皮肉めいて言うと、先輩は
「ただの焼身じゃない」
と不機嫌に答えた。

そして先輩の言うがまま夜まで待つ事になった。
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