先輩が死ぬ時
僕らは、部室の窓からグラウンドに出た。

先輩はグラウンドの極真ん中にガソリンを撒き始めたため、僕も手伝う事に

ガソリンは螺旋を描きながら失くなっていく。

三タンク目が失くなりかけた時、先輩は残りのガソリンを自分にかけた。

そして先輩は僕にマッチを渡した。

「合図したら着けて」

先輩はそう言うと、ガソリンの螺旋の真ん中に立った。

「螺旋の炎に抱かれながら死ぬなんて美しいでしょ?」

先輩は話始めた。

「あなたは美しく死にたいと思わない?」
「いえ、青春を謳歌したいので」
「そう」

先輩はつまらなそうに呟く。そして

「着けて」
合図がされる。

僕はマッチを着け、
「先輩」
と呼びかける。

「何?」
と、先輩が喜びに満ちた顔で答える。

「さようなら、先輩」
「はい、さようなら」

炎は螺旋を描きながら先輩のいる中心へ駆けていく。
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