They are going out
 トゥルルルル…


 「出れば?」

 「あぁ」

 進藤はズボンのポケットに手を伸ばした。そして携帯の画面を見た途端、表情を変える。

 「はぁい、パパでちゅよー☆」

 ……。

 やっぱ別れてよかった…。

 美紀は心からそう思ったのだった。

 二人が去った後、計三人の人間ドラマを垣間見た教室に戻ってきた真綾は、そんな痕跡を感じ取れるはずもなく。

 そのまま、誰かに話したくて仕方なくなり、人を求めて走っていくのである。

 これが始業式の日、放課後の全て。
< 12 / 45 >

この作品をシェア

pagetop