They are going out
 「須山、寝てんじゃねぇよ」

 …という三島先生様様の声がクラスメイトの笑い声と重なったのが二限の話で、今あたしは放課後の仕事に勤しむ三島をつかまえたところだ。

 「あたし、部活行きたいんだけど」

 なるほど、ラケットにジャージ姿で言われれば、言われる前に察しは付く。

 しかし、我慢できないのがあたし、須山真綾である。

 「夢見たんすよ。夢」

 「夢ぇ?」

 「そ、夢」

 あたしは三島のゲンコツが落ちる前まで見ていた夢の内容を、彼女に話した。

 「で、その男女二人ってのが…例の二人だったわけでしょ?」

 さすが三島先生。バッチシ当たってるじゃん。

 「はい、そうっす。でね、あたしその夢がどーも、当たるような気がするんですよ」

 そう言ったあたしの顔を見る三島の目が、一瞬色を変えた。

 「…今先生、あたしのことバカにしたっしょ」

 「うん」

 はぁ。はっきりいうよな、この人。

 「だってどこが当たるっちゅーのよ。あたしが須山を追いかけるってとこ?」

 三島は言いながらラケットを振る。

 「いや、肝心なのはそこじゃなくて」

 あたしは言いながら手でハートを作る。

 「白い人ぉ?誰よそれ」

 「いや、いるじゃん。ってか、あるじゃん?いっぱい」

 そう言ってあたしはある方向を指差した。

 三島は、まさかぁ…と笑ったが、そのまさかを疑うべきなのである。

 あたしたち二人の興味は、その方向へと向けられていった。


 ――そこは……
< 15 / 45 >

この作品をシェア

pagetop