They are going out
   *

 小さな四角い部屋。

 ドアの上の札をクローズアップすると、『温習室』と書いてある。

 狭い四角形の二つに区切られたこの温習室。

 片方の自習スペースには、二学期になる頃から受験勉強をやりに来る生徒も多い。

 また、二学期後半になると、教師の目を盗んでこの部屋で内職している者もいる。

 冬は日当たりが良く他の教室より暖かいこともあって、真綾はよくここで昼食をとっていた。

 窓からの見晴らしも悪くない。

 だからサボリだって快適…いえ、嘘です。

 そして、もう片方の物置と化している部屋。こちらはあまり人の出入りがない。

 その中に、例の二人はいた。

 市原美紀と、新垣徹。

 始業式、あの3Gでの出来事から一週間。その一週間という間に何もなかったわけがない。

ましては大人の男女である。

 簡潔に二文字で言ってしまえば『関係』を持ってしまったわけである。

 『関係』を。

 …厭らしい。(=セックスに対して露骨な・by三省堂『新明解』)

 実に厭らしいじゃないか。(多少興奮気味。)

 イヤラシイ!(大興奮。)

 …ま、それはさておいて。

 そんな二人がここでいったい何をしているのか。

 ご想像通り、てなはずがない。

 そこら辺の低レベルな生徒じゃないんだから、教室エ○チなわけがない。

 だからと言ってもちろん、ただのご相談というわけでもない。

 じゃあ何か?(アクセントは“に”。)
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