They are going out
 紺色の制服に舞い散っていた桜は、いつしか青葉へと姿を変えた。

 その葉桜の下で、毛虫が大量発生したこともあったっけなぁ…なんて回想し始めるが、それって小学校の時じゃなかった?とミーちゃんに突っ込まれる。

 時は5月の終わり。

 さすが大人は賢く、例の二人の不倫(=男女が、越えてはならない一線を越えて関係を持つこと・by三省堂『新明解』)がバレた様子は全くない。

 まぁイヤラシイ!(大興奮。)

 この時期は衣替えの前後一週間ということで、冬服と夏服が入り混じっているのも、なんかイヤラシイ。

 でもきっと、セーラー服のほうがもっと厭らしいんだろうねぇ。うふふ。

 と、そんな親父くさいことを考えている場合じゃない。

 月曜日、六限、ロングホームルーム。

 文化祭を七月に控えて、話し合いは進む…はずであった。

 三年生とも言えば、高校生活最後の文化祭。

 みんな騒ぎ出すが、その矛先は文化祭よりも別の方向へと向かっていく。

 金髪のサル…いやS君が原因らしい。

 「どこどこのラーメンは不味い」だの、「由香里ちゃんのバイト先は大人っぽくてステキだよね」だの、「昔の彼氏が結婚しちゃってさぁ」だの。

 あーうるさいなんてもんじゃない!

 ていうことは、やばい。 

 そろそろ担任の美紀先生がキレる頃だ。

 ロング開始時の笑顔は仏頂面に変わる。
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