They are going out
 いつ明けたかもわからない梅雨の後で、暑さはどんどん増していた。

 七月に入り、蝉の鳴き声が聞こえ始めて、空には入道雲。

 ここ最近毎年のように、夏が来るのが早いと思う。

 ま、地球温暖化…ってのが理由なわけなんだけど。

 学校では文化祭を二日後に控え少しづつ、少ーしづつ準備が進められていた。

 しかし明日が丸一日準備日に当てられるので、放課後の残留人数は少ない。

 残っているのは女子ばかりで(とはいっても、うちのクラス文型だから男子は十人しかいないんだけどね)それも雑談しているだけ。

 そんな中にあたしもいた。

 文化祭、結局先日の話し合いから数日後に、うちのクラスの出し物が決まった。

 和紙作りとわたあめ作りで、メインは和紙。

 わたあめをメインにしたかったのだけど、文化祭実行委員会執行部のうるさい顧問、あのダイエッター藤谷にこう言われてしまったのだ。

 「せっかく“文化”祭なんですから、和紙をメインにしましょうよ」

 まぁしょうがない、と生徒は引き下がったけど、わたあめ発案者の美紀はごっつ不満そうだった。

 でも「やるな」って言われたわけじゃないし。

 あくまでもうちらの中のメインはわたあめだった。

 そう、わたあめがメインだったのに…。

 ここからの話はまさにバトルロワイヤル。

 わたあめという賞金をかけた戦いなのだ。

 戦うのはもちろん――。
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