They are going out
 「でも、このままだとできませんよね、わたあめ…」

 カオリンは遠い目をして言った。

 わたあめ無くなったら、目玉商品ねぇよな。…痛いよな。

 「そうなのよね…」

 うなだれる美紀。

 加奈ちゃんと奈緒ちゃんは美紀の前方に回りこむと言った。

 「も、先生先頭にして藤谷んとこ行こーよー」

 それがいいそれがいい、とはその場にいた生徒全員。

 美紀は笑いながら言う。

 「えー、わたしダメェ。売られた喧嘩は買っちゃうからー」

 あぁ、すっごい喧嘩買いたそうな顔してますね、とはあたしの心の中のセリフ。

 加奈ちゃんたちは美紀の背中を押す。

 「買っていいから。先生、ね、行こー!」

 またもや笑いが飛び交う。

 美紀も笑って、しかもかなりやる気になって言う。

 「じゃ、あなたたち、ちゃんとフォローしてよ?」

 OKOK、と3G女子ご一行は美紀を先頭にして生徒会室に向かった。

 途中で「なんかワクワクしてきた」と奈緒ちゃんが言うと、美紀は笑いながら「あなた来ないほうがいいかもしれない、事がややこしくなりそう」と言った。

 確かに奈緒ちゃんは、生徒総会での発言などで教員を怒らせるのが得意だ。

 「大丈夫、黙ってるから」とは言っているけどどーだか。

 でもなんだか面白いことになった。

 美紀先生はお強いから、きっとわたあめはできるさ。

 ――なんて、そのときのあたしたちは思っていたけど。

 そんなに簡単にはいきませんでした、はい。
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