They are going out
   *

 「あームカつく!何よあの人、ムカつくったらありゃしない!」
 
 3Gご一行様が教室に戻ると、美紀は怒りのためか興奮し始めた。

 この興奮はただ事ではない。

 あたしたちにしてみれば、これほど面白いことは滅多にないわけで。

 美紀に賛同して、あれこれと話を聞いていた。

 美紀は言う。

 「本当はね、わたしは教師として同僚の悪口なんか言っちゃいけないのよ。どんなにムカつく事があったって、『あの先生は本当はいい人なのよ』とか言わなくちゃならないの。けどわたし、とてもじゃないけど言えない。ホンットに、言えない」

 眉間に皺よってますよ、とも思ったけど黙って話を聞くことにした。

 そこまで嫌うなんて何があったんですかぁ?と聞いたのはカオリン。

 美紀は更に興奮して続ける。

 「だって、いっっつだってあの人、自分の非を認めないのよ。この前だってわたし、あの人のミスのせいで教員全員の前で謝ったんだから!」

 マジで?という顔をするあたしたちに、活火山のように美紀は語りだした。

 生徒会関係の連絡で使うはずだった資料を忘れたのは藤谷自身なのに、「市原先生(美紀)に渡した、忘れたのは市原先生だ」ということにさせられて、結局引っ込みがつかなくなり美紀が謝った…というのがその話。

 「葵さんも、昨日同じことやられたもんね」

 えっ、そうなの?というあたしたちに葵が頷き、美紀が説明する。

 文実に配る資料がないので葵ちゃんが藤谷に聞いたところ、「私は加藤(葵ちゃんの苗字)にわたしましたよ」の一点張り。

 ほかの教員にも軽蔑のまなざしで見られた後、藤谷は「あぁ、あの資料出てきましたから」と謝りもせず、葵ちゃんに用済みの資料を押し付けたと言う。

 「だいたいね、聞いたでしょ?あの人が最後に言ったこと。『生徒会の顧問だろ』なんて言うんだったら、普段からそういう扱いをしろっていうのよ」

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