They are going out
   *

 翌日の朝、暗くうなだれた美紀先生が教室に入ってくる。

 (あぁダメだったんだね…)と、昨日の事情を知っているものは、即座にそう思った。

 「残念なお知らせがあります」

 美紀はそう言って、目をこすった。泣いてる?

 「皆さんももう知っていると思いますけど、文実の本部との話し合いで、火の使用はしてはいけないと言うことで、わたあめのほうの出店ができなくなりました。ですのでね、3Gの出店は和紙作り一本でいきたいと思いますので…」

 予想通り、クラス中がため息。そんな中、美紀は続ける。

 「なんかね、悔しいっていうか…負けたくない!って感じだったんですけどね。負けちゃいました、ごめんなさい」

 いつにもなく落ち込んだ担任を前に、3Gはしんみりしていた。

 チャイムが鳴り、美紀は教室を出る。

 ちょうど廊下を歩いていた新垣徹を呼び止め、捨て猫のように潤んだ目で彼を見た。

 「慰めてください」

 もちろん、徹がそれを拒むはずもなかった――。
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