They are going out
   *

 三島は職員休憩室で麦茶を飲んでいた。

 もちろん、扇風機を回しながら。

 しかし回すのはプロペラのみで、左右に首は振らせない。

 つまりは独り占めだ。

 二文字で書くと「独占」。ふふっ。

 しばらく休憩していようと、ソファーに座った。

 本当なら畳のほうに寝っ転がりたいところだけどしょうがない。

 男の先生が来たらみっともないしな。

 そう思っていた時、真綾が休憩室の入り口から顔を出しているのが見えた。

 「須山?」

 「あ、先生、柏尾知りません?」

 「知らないけど…どしたの?」

 「あ…話すと長くなるんで、すみません」

 そう言うと真綾は走り去った。

 なんだ?

 ま、いっか。

 三島は再度ソファーに腰を下ろすと、ちょっといい気持ちで居眠りし始めた。

 廊下では、藤谷がわなわな震えながら行ったりきたりしていた。


 「もう、どこ行っちゃったわけ?」

 真綾は校内を走り回ってもう三、四周はしているはずだが、柏尾は全然見つからない。

 「帰っちゃったとかは?」

 実乃里はそう言うが、

 「放送委員だからそれはないと思う」

と言って、真綾はまた柏尾を探すのであった。

 そして何度目かの3Bの教室。

 やはり柏尾はいない。

 「あっ」

 例の写真の前にいたのは新垣徹(先生)。

 「おーまいがーっ!」

 …さっきと同じ展開だ。しかも、こっちも同様にたちが悪い。

 早く柏尾を見つけなきゃ!
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