They are going out
 「なんかさっきから、妙に騒がれてるわよね、わたしたち」

 美紀はそう言って、生徒相談室の鍵を閉めた。

 もちろん、隣りにいるのは進藤だ。

 「やっぱりばれたか」

 「…ばれるでしょう、あれじゃ」

 二人はそう言いながらも、ちっともあわてた様子がない。

 「もうそろそろよね」

 「あぁ、そうだな」

 いったい何が「もうそろそろ」なのだろう?


 「もう、あいつホントにどこいったわけ?」

 真綾は校舎の中を走り回って、完全に機嫌を悪くしていた。

 ただでさえ四階建てで三つの校舎は広いのに、そのうえ文化祭の装飾で迷路のようになっているものだから、まるでワンダーランドだ。

 そう、今日は全ての出来事が不思議不思議のパニックに思えてくる。

 「放送で呼び出してもらう?」

 実乃里が言った。

 「そうするか…」

 真綾がそう、決断した時だった。
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