They are going out
 「その写真どうするんだ?」

 進藤は美紀の手の中の写真を見て言った。

 「これ?」

 美紀はそう言うと、微笑みながら写真を引き裂いた。

 「なっ!」

 「もう本当に終わりにしない?あなたは子供もできた、わたしは結婚してうまくやろうとしてる。誘ったのは確かにわたしだから、責任とってわたしから終わりにする。いいでしょう?」

 いいわね、と目で確かめて、美紀はそこから去った。

 「あいつとはどうなるんだよ!」

 進藤は徹とのことを確かめようとした。けれど美紀は言った。

 「あの人にわたしの相手がつとまらないから、あなたを求めたんじゃない」

 次第に遠くなる美紀の背中を追いかけることは、進藤にはできなかった。


   *

 「あの写真の依頼をしたのは、間違いなくあのカップル本人たちだよ」

 柏尾は下校時間の近づく音楽準備室で、そう言った。

 どういうこと?と聞くあたしたち――あたし、紗有、ミーちゃん、三島に柏尾は説明する。

 「あの写真の希望用紙、字は市原美紀先生のものだった。これは間違いない。しかも、あの二人は多分…」

 「なに?」

 柏尾は一息ついて言った。

 「いや、もうあの二人のあーいうシーンを見れる機会は、誰にもないんじゃないかな、と思っただけさ」

 ふーん、と妙にあたしたちは納得してしまう。

 当たっているかもしれない。

 彼と彼女の事情なんて何も知らないけど、二人とも大人だから。

 きっと、潮時っていうものを、きちんと知っていると思うから。

 窓の向こうに、ロマンチックな夕焼けが見えた。
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