They are going out
 「市原先生と徹先生ねぇ…びつくりしたよ」

 「それだけっすか?」

 「いや、あたしはてっきり市原先生って言ったら……」

 三島先生はそう言うと、更に小声になってあたしの耳元でささやいた。

 「生徒会関係で、藤谷先生とかだと思った、のよ」

 ありましたね、そういえば。

 生徒会顧問である藤谷宏和先生(社会)と市原美紀先生の、超有名なウワサ。

 それはこんな話である。

 あたしたちの入学する前の話で、まだ市原先生が独身で金宮先生だった頃。

 藤谷先生は金宮先生に告った(らしい)。

 しかし、金宮先生はこう言い放った…とかなんとか。


 『私を好きなら、痩せてください☆』


 そして、そう言われた藤谷先生は、金宮先生とのLOVE実現のためだけに、決死のダイエットを実行した。

 スリムとまではいかなくても、百貫デブから普通のデブくらいにはなったはずだ(笑)。

 それなのに!

 「結婚しちゃったんだよねぇ、市原先生」

 そう言って、遠い目をする三島(既に敬称略)。

 「たぶんホントの話ですよね」

 「ホントなのかね、やっぱ」

 二人して遠い目(笑)。

 そして突っ込みのようなタイミングの、下校時刻のチャイム。

 「あぁっ!紗有が帰っちゃう!三島先生さよならっ!また明日…」

 言い終わるか終わらないかのうちに走り去るあたし――3年G組須山真綾の背後で、三島のつぶやきがはっきりと聞こえた。

 「また明日…って、続くのかよ!」

 三島っちゅーか、三村?

< 5 / 45 >

この作品をシェア

pagetop