They are going out
 はい?とクエスチョンマークを頭につけたあたしに、ミーちゃんから紗有の事情が説明される。

 ――この女、早速かよ。

 紗有はあたしの父親の兄貴の娘。

 この春大学を卒業して、うちらの通う高校に新任でやってきた。

 そして四月一日の着任後、始業式である四月六日、つまり今日までの五日間でひとりの男を即行ゲットしたというのだ。

 その男というのが、書道担当の関貴臣先生。

 「…どこがいいの、あれの」

 と言ったのは柏尾。

 放送委員長の柏尾は、顧問である関を「あれ」呼ばわりした。

 ま、確かにわかる気もする、けど。

 関っていう男は、自称『カリスマ』。

 ホストみたいな出で立ちで、紫のスーツなんか着たりしてる…つまり、あたしらなんかからすると、変人。

 ちなみにどこがカリスマ?、かは誰も知らないと思うけどね。

 しかし、あっちでもこっちでもラブラブってのもどうだか…。

 そんなことを口に出すと、ミーちゃんと柏尾の耳がピクついた。

 「あっちでも、って、どういうことよ?」

 二人の声がハモる。

 この二人、柏尾のほうこそ彼女持ちだけど、生まれた病院から一緒らしくて、息がぴったりなんだわ。

 で、幼稚園からあたし(と紗有)が加わって、今のような状態まで来てるわけ。

 「何よ、教えてよ」

 ミーちゃんが聞きたがると、話すしかないんだろうなぁ、やっぱ…。

 でも紗有もいるし…。

 その時だった。
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