a girl as a dool
無言で俺の頭に液を塗り付ける黒髪の女。
俺はさっきの自分の行動に驚きながらも、これからのことのほうが楽しみだった。
『黒染めしたら俺、学級委員とかなれる?』
『あ、ついでに自分じゃうまく染まんねぇからこの子に頼んでいい?』
俺の言葉に、島内が口をぽかんと開けた。
そして彼女に視線を移した。
『あたしは別にどうでもいいですよ』
その表情が本当にどうでもよさそうで、島内は呆れ、俺は笑った。
「ねぇ、これって何分置けばいいの?」
いつの間にか液を全体に塗り終えた彼女が、パッケージとにらめっこしながら問い掛けてくる。
「ね、髪染めたことねぇの?」
質問を質問で返す俺に、彼女は一瞬眉間にしわを寄せてから頷いた。
あ、初めて無表情以外見たかも。
そう思うと何だか嬉しくて、つい頬が緩む俺に彼女は呆れたように溜め息をつく。
「で、何分?」
いつの間にか眉間のしわは消滅し、さっきまでの無表情に戻っていたけど。