a girl as a dool
「委員決めをします」
しーんと静まった教室に、彼女の燐とした声が響く。
「前に書くんで希望ある人は名前書きに来て下さい」
そう言って、黒板に文字を書き始める彼女。
あぁ、字も綺麗なのね。
なんて感心しながら見ていると、すかさず島内から突っ込みが入る。
「おい曽我、手伝えよな」
はっと我に返った俺は並んで板書を始める。
我ながら汚い字。
こんな字が彼女の字に並ぶなんてただの恥さらしじゃないだろうか。
一人でそんなことを考えていると、ふと視界に入る彼女の腕。
どうやら俺の真ん前にある黒板消しを取りたいらしい。
「はい」
それを手渡すと、彼女は小さくありがとうと呟いた。
もちろん無表情のままだけど。
でも何だかその些細なやり取りが微笑ましくて、思わず口元が緩む。
「質問なんですけどー」
そんな和やかな雰囲気をぶち壊すように響いた女の声。
隣の彼女は表情を崩すことなく振り返る。
「希望ない人はどうすればいいんですかー?」
いかにも感じの悪いギャルが言う。
「一応委員は全員強制なので全員何処かに書いてください」