a girl as a dool



「希望ないから書けないって言ってんの」


当たり前の返答をした彼女に、突っ掛かるように言うギャル。


見るからに荒れてそうな茶髪の毛先をいじりながら、最高潮に不機嫌オーラを放つ。


ざわめく教室。


「希望ない人は学級委員が調整して入れます」


顔色一つ変えずに彼女が言う。


ギャルは何が気に入らないのか、さらに文句を言おうとする。


いや、たぶん渡邊茉央が気に入らないのだろうけど。


「まぁまぁ」


突然席を立ち上がった陽平が仲裁に入る。


「大丈夫、ジュンはセンスいいから」


ギャルをなだめるつもりで言ってるが、それって俺に責任転嫁かよ。


「ま、希望ないってことは何でもいいんでしょ?」


仕方なく俺も口を開く。


「絶対やりたくないのあったらそれ以外に名前書きゃいいだけだろ」


とりあえず話し合いを進めたくてそうギャルを説得する。


「ま、曽我がそう言うなら」


ギャルは何とか納得したように頷く。


やれやれ。


こんなんで大丈夫か?学級委員。


先が思いやられながら隣の彼女を見ると、すでに何もなかったかのように板書を始めていた。


















< 16 / 30 >

この作品をシェア

pagetop