a girl as a dool
「希望ないから書けないって言ってんの」
当たり前の返答をした彼女に、突っ掛かるように言うギャル。
見るからに荒れてそうな茶髪の毛先をいじりながら、最高潮に不機嫌オーラを放つ。
ざわめく教室。
「希望ない人は学級委員が調整して入れます」
顔色一つ変えずに彼女が言う。
ギャルは何が気に入らないのか、さらに文句を言おうとする。
いや、たぶん渡邊茉央が気に入らないのだろうけど。
「まぁまぁ」
突然席を立ち上がった陽平が仲裁に入る。
「大丈夫、ジュンはセンスいいから」
ギャルをなだめるつもりで言ってるが、それって俺に責任転嫁かよ。
「ま、希望ないってことは何でもいいんでしょ?」
仕方なく俺も口を開く。
「絶対やりたくないのあったらそれ以外に名前書きゃいいだけだろ」
とりあえず話し合いを進めたくてそうギャルを説得する。
「ま、曽我がそう言うなら」
ギャルは何とか納得したように頷く。
やれやれ。
こんなんで大丈夫か?学級委員。
先が思いやられながら隣の彼女を見ると、すでに何もなかったかのように板書を始めていた。