a girl as a dool
「学級委員ってこんなに面倒なわけ?」
いつもの屋上。
あいにく今日はどんよりとした曇り空で、まるで俺の心のようでそれがまた俺の気分を害する。
「いや、あの南って娘ジュンのファンだからさ」
隣から陽平が煙を吐きながら言う。
「は?」
陽平の発言に思わず眉間に皺を寄らす。
「ジュンは自分が思ってる以上に顔知れてるよ」
呆れたように笑いながら言い、俺の持つ缶コーヒーを奪うと一口飲む。
親譲りらしい顔立ちと長身のおかげで女に不自由したことはなかった。
まぁ、それなりの自覚はあったつもり。
「けどあんなギャルはタイプじゃねぇ」
肌とか髪とか荒れ放題のさっきのギャルが脳裏に浮かぶ。
隣の陽平も笑いながら頷く。
「ま、お前が渡邊さんと仲良くなればなるほど増えるだろうな。あぁゆう輩」
陽平がタバコを空き缶に押し付けながら火を消す。
「元々評判最悪だからね、あの委員長」
肩でふぅっと息を吐きながら陽平がつけ足した。
「何であいつ愛想笑いとかできねぇかな」
話し合いの時といい、さっきの黒板消しの時といい、とにかく無表情の彼女を思い出す。
「ま、巻き込まれに自ら進んだのは君だからね」
陽平が笑いながら俺を見る。
「まーな」
釣られて俺も笑って、しばらく二人で笑い合った。