a girl as a dool
二年A組
氷の姫
「ジュン!!」
心地よい春風の吹く四月。
「A組!!また俺と一緒だよ〜♪」
そう言って走り寄って来るのは幼なじみの立花陽平。
名前の通りとりあえず陽気な奴。
「そんなん嬉しくねぇよ。それより可愛い女の子と一緒がいいよ」
俺はそう言いながら、抱きつく陽平を引き剥がす。
「ヒドイわ、絢也。あたしよりも可愛い女の子を選ぶのね」
めそめそ泣き真似する陽平をその場に放置し、教室へと足を進める。
「あ、待て」
陽平が慌てて追い掛けて来る。
「やーだね」
俺は得意気に笑って走り出す。
その後ろから陽平が笑いながら追い掛けてくる。
「おい、こら。曽我!立花!!廊下を走るな」
一年の時の担任とすれ違い、怒鳴られるが気にしない。
「曽我お前また染めたろ?職員室で黒染めだ」
追い掛けて来た元担任から逃げるように、俺達は廊下を走り抜けた。
目指すは屋上、俺らの隠れ家。
今年で40になる元担任は息切れで、廊下にへたりこむのが見えた。