a girl as a dool
気付き
「あんた一体何様なわけ?」
陽平と屋上から戻ろうと階段への扉をあけた俺達は、ふと聞こえてきた声に動きを止めた。
平和な昼休みのはずが、わざわざこんなところで修羅場かよ。
「めんどくせぇ、もうちょっと時間潰しとく?」
ドアノブを握ったまま振り返り、陽平に尋ねる。
陽平も呆れたように笑い、頷く。
「ちょっと顔が良いからって何なわけ?」
「うちら見下してんの?その態度」
「キモいんだよ、笑いもしねぇで」
ゆっくりドアを閉めようとしていた俺たちの耳に次々に入ってくる暴言。
「一体何人がかりで呼び出ししてんだよ」
陽平が呆れたように言う。
何となく気になった俺らは、ドアを半開きで様子を伺うことにした。
「見えねぇな。もうちょっと詰めろ、ジュン」
こっそりしながら、ちゃっかり野次馬な俺達。
階段の踊り場に見える数人のギャルらしき人だかり。
「大人しい子相手にストレス解消か?」
囲まれて見えない被害者を見ようと、二人で身を乗り出す。
けど、触らぬ神に祟りなし。
あくまで傍観者。
よくこういう光景を見る俺たちの、いつもの決まり。