a girl as a dool
「…ったく可愛げねぇ」
あいつが去った階段で、壁に寄りかかって一言愚痴を漏らす。
「やっぱりあいつが可愛げあるのとか想像できねぇ」
さっきの屋上での会話をふと思い出して呟く。
と同時に浮かぶ不快感。
どんな男だったら一体あいつは弱さを見せるんだろうか。
どんな笑顔を見せるんだろうか。
「彼氏の面見てみてぇ」
そう呟いた俺の肩に、陽平が手を置く。
振り返る俺に、陽平は企んでるような心配してるような複雑な表情を見せる。
「ヤキモチ?」
……は?
陽平の唐突な質問に、思わず不快な顔を明らかにする。
「いい加減気付けよ」
呆れたように言いながら、俺の頭を軽く叩く。
教室戻ろうぜ、そう言いながら階段を下り始める陽平の背中を呆然と見ながら、俺もとりあえず足を進めた。