a girl as a dool
「ちぃーす!!」
そう言って派手に教室のドアを開ける陽平。
教室ではすでにホームルームが始まっていたようで、席に着いた生徒達が振り向く。
「陽平A組だったんだ?」
「てめぇ遅ぇっつーの」
次々に陽平に掛けられるクラスメイトの声。
陽平は持ち前の明るさで顔が広い。
「曽我!!立花!!この後職員室だ!!」
教壇から怒鳴り付けるのは、先程巻いたはずの島内。
「え!?島内担任?」
大声で言う陽平に、島内必殺技のチョーク投げ。
見事にでこに当たった陽平は、痛がりながら席に着く。
ぽっかりと空いた並んだ席に座る。
立花と曽我は名簿順まで前後。
しばらく真面目に島内の話を聞いていると、陽平が後ろの席から乗り出して来る。
「な、可愛い女の子発見」
にやっと笑う陽平の視線の先には、窓際の最後尾に座る女。
開いた窓から入る春風に、漆黒の髪を靡かせる。
白い肌に、大きな瞳…とにかく形の整った綺麗な顔立ち。
なのに何処か、暗い印象があった。