a girl as a dool



「ねぇ紗智子、あの美人誰?」


早速隣の席の奴にリサーチする陽平。


「あ、二人去年F組か」


一人納得したように頷くこの女は、川井田紗智子とゆうらしい。


一年F組は、学年でただ一組だけ旧校舎に位置していた。


今俺らがいる新校舎は、去年できたばかりらしい。


そして今年の卒業生はG組まであった関係で、はみ出し者だった。


ま、だから俺は知り合いが少ないのかもしれない。


陽平の影響か、俺のこと知ってる奴は何故か多いが。


「去年の終わりにA組に来た転入生だよ。渡邊茉央」


「くそ、チェックが甘かった〜。あんな可愛い子去年からいたなんて」


大袈裟に悔しがる陽平に、俺は呆れて溜め息。


つんつんとワックスで立てられた茶髪を崩してやる。


「ね?渡邊茉央が何て言われてたか知ってる?」


そんな俺たちに、川井田がにやっと笑いながら聞いてくる。


「何、気になる〜♪姫とか?」


能天気に言う陽平に、本日二度目のチョークが飛ぶ。


「静かにしろ!!」


島内が顔を真っ赤にして怒り、クラス中から笑いが起こる。


俺までチョークの餌食にならぬよう、俺は一先ず前を向いて座り直した。















< 6 / 30 >

この作品をシェア

pagetop