a girl as a dool
「んじゃ、学級委員を…」
そう言いながらクラスを見渡す島内。
「お前らするか?川井田、立花」
後ろの席でまだ喋っている二人に、島内がチョークを構えながら聞く。
「えー、俺に務まるわけないじゃん」
口を尖らせて言う陽平に、クラス中が笑い出す。
「そうだよ、島ちゃん。クラス崩壊させる気?」
陽平に乗っかるように川井田が言い、また起こる笑い。
クラス全員が笑っていた。
…ただ一人を除いて。
その人物はクラスの会話なんか興味ないように、ぼんやりと窓の外を見ていた。
綺麗な顔立ちで。
その大きな、少し茶色がかった瞳は何故か哀しみを連想させた。
「だよなぁ、やっぱり優等生に頼もう」
島内は大袈裟に溜め息をついて、またクラスを見渡した。
「渡邊」
島内が様子を伺うように、彼女を呼ぶ。
「お前学級委員してくれるか?」
島内の問い掛けに彼女はゆっくりと頷いた。
「んじゃ、男子は誰かやってくれる奴ー?」
島内はまた辺りを見回す。
クラス中が静まりかえる。
まるで、彼女を拒否するかのように。
けれど彼女は気にした様子なく、再び窓の外を見ていた。