貴方と居た時間。
出逢い
五月三日。
爽やかな五月晴れ。
親子連れで賑わう店内。



高村知佳(21)は、ゴールデン・ウィークにも関わらず、予定はバイトでびっしりだ。

しかし知佳の心は踊っていた。


「高村さん、ちょっとバックルーム来てくれる?」


店長の篠原啓太(37)に知佳は呼ばれた。
知佳の心が踊っている理由。
それは啓太の存在だった。


一ヶ月前、知佳はこのコンビニの面接を受けた。
その時に啓太と出逢った。


ワックスで無造作にセットされた短い髪。

細い目につぶらな瞳。

白いワイシャツ。

黒のズボン。

優しい声。

そして、37歳とは思えない、少年のような笑顔。


知佳はそんな啓太に一目惚れをした。


話せば話すほど、啓太に惹かれた。
年が離れているせいか、大人の魅力のようなものを感じていた。


「プライスシール、貼っといてくれる?この分なんだけど。」


「了解でーす。」


プライスシールを受け取る時に、わずかに啓太の手が知佳の手に触れた。
知佳はそれだけで舞い上がってしまう。

純粋に、啓太の事が大好きだった。

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