貴方と居た時間。
「私の場合は、ね。私は若い頃、浮気だ不倫だなんて気にせず、たくさん付き合ってきたから…。あ、ドン引きしないでよ?(笑)」


知佳は開いた口が塞がらない。


「ただ…。」


美樹の顔が急に真剣になる。


「…ただ?」


美樹は知佳の手を握りしめると、こう言った。


「知佳ちゃんには、私、傷ついてほしくない。知佳ちゃんの性格を私は知ってるから、もし知佳ちゃんが店長さんと何かあった時、苦しんで辛い思いをするのが目に見えるから。」


知佳は美樹の気持ちが嬉しくて、涙が溢れそうになっていた。


「でもね、店長さんを好きな気持ちは大切にしてほしい。何だか言ってること矛盾してるけど、知佳ちゃんが後悔しないように、頑張ってほしい。私はいつでも知佳ちゃんの味方だから。」


「美樹ちゃん…。」


知佳は美樹の手を強く握る。


「私、後悔しないように頑張る。」

知佳がそう言うと、美樹は優しく微笑んだ。


「うん。頑張れ。」


後悔しない。


それは啓太を想い続けるか、
すぐにでも想いを伝えるか。


知佳は啓太からもらった紙を見つめながら、これからの事を考え続けていた。
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