貴方と居た時間。
その日の夜、知佳は些細なことから父親の正人(47)と言い争いになった。
正人の言い分も分かっているつもりだったが、価値観を押し付けられているようで知佳は腹が立って仕方なかった。
イライラはおさまらず、知佳はモヤモヤとした夜を過ごしていた。

そんなとき、ふと目に入った携帯電話。


『いつでもメールして』


啓太の言葉が頭をよぎる。


知佳は携帯を手に取り、メール画面を開く。
しかし、親子喧嘩の事を聞かされても迷惑じゃないだろうか。
知佳は携帯を開いたり閉じたりと落ち着かない。


メールしようと決心した時には、一時間経過していた。


知佳はドキドキしながらメールを打つ。


『お疲れ様です。遅くにすみません。父と喧嘩してしまって、モヤモヤして…。店長にメールしちゃいました。』


うまく文章が浮かばない知佳だったが、とりあえずメールを送信した。
返事は来るだろうか…来なかったら…
今さらながらメールを送ってしまった事を後悔していた。


数分後、携帯が鳴った。
知佳は急いで携帯を開き、メール画面を開いた。


啓太だ。


知佳は返事が来た事にホッとした。
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