貴方と居た時間。
知佳はシートベルトをしめながら言う。


「おいさんも少しは若く見える?」

啓太はいたずらっぽく笑いながら言った。
そんな啓太を見て、知佳はキュンとする。

幸せだ。

知佳は何だか照れくさくて、窓の外ばかり向いていた。


「今日学校だったの?」


啓太はサイドミラーを確認しながら、知佳に聞いた。


「はい、そうです。相当眠かったです。」


知佳はドキドキして昨日の夜からあまり寝ていない。


「ははっ。懐かしいなー学生時代。おれ、相当頭良かったよ。」


「そうなんですか?!」


知佳が聞き返すと、


「まさか(笑)。俺学年でうしろから二番目とゆうミラクルな成績だった(笑)。」


車の中は笑いに包まれた。


車の中で、二人の笑顔は絶えることがなかった。
ホタルを見る川に着いた頃、すっかり辺りは暗くなっていた。


知佳と啓太は車から降り、川のそばへと歩いた。


知佳達と同じように、ホタルを見に来ている親子連れやカップルが何組か川のそばに居た。


川へ近づくと、知佳は、


「あ…」


と声を漏らした。
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