貴方と居た時間。
「ABです。」


「お!一緒じゃん(笑)じゃあ次は…好きな食べ物!」


知佳はひたすら啓太の質問に答え続けた。
質問の内容が底をついてきたころ、知佳は啓太に聞いた。


「どうしてこんな質問を?」


啓太は信号待ちでタバコに火をつけ、フーッと煙を吐くと、知佳の方を向き答えた。


「知りたいから。高村さんの事。」


ドクン…。



知佳の胸が跳ね上がる。


「え…?」


暫く沈黙が続いた。
しばらく車を走らせ、啓太は町の役場の駐車場に車を止めた。


知佳は動揺を隠せない。


「今日は楽しかったな。」


啓太が静かに口を開いた。


「はい、凄く。」


知佳はドキドキしながら答える。

車の中から空を見上げると、星がキラキラと輝いていた。
二人は月明かりに照らされていた。


「高村さんと出逢って、もう二ヶ月くらい?」


「そうですね。」


「早いな。高村さんとは色んな事話したよなー。真剣な話も、バカな話も。」


「…。」


知佳と啓太はバイトで顔を合わせるたびに、色んな話をしてきた。
大抵は、知佳の学校の試験に対する愚痴だとか、授業は眠たいだとか、くだらない話だ。
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