貴方と居た時間。
会えると思うと、バイトが楽しみで仕方がないのだ。


「実はさ…」


知佳は美樹にだけは啓太の事を話そうと決めていた。


「好きな人が居るんだ。」


知佳の突然の告白に、美樹は驚く。


「す、好きな人?!え!バイト先に?同じバイトの人?!」


美樹はかなり興奮しているようだ。


「えっと…。店長。」


その言葉に美樹はさらに驚く。元々大きな目が、さらに大きく開く。


知佳はこれまでの事を美樹に話した。話しているうちに、改めて啓太が好きなんだと確信した。


「そうだったんだ…。店長さんかー。37歳って、またかなり年上だね。」


「うん。凄く良い人なんだ。」


「そっかー。…あれ?て事は、店長さんは結婚してないんだ?」


結婚。
美樹に言われ、知佳はパンをほおばる口を止めた。
そういえば、そんな事考えたこともなかった。
ただただ、啓太に夢中で、独身なのか既婚なのか、頭にもなかった。


37歳。
結婚していても、おかしくない年齢だ。
仕事中、指輪はしていない。
お弁当を持ってきてもいない。大抵は店のおでんか、弁当の廃棄を食べている。
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