貴方と居た時間。
真実
爽やかな晴天。
鳥達は自由に空を飛ぶ。
何にも邪魔されずに、無邪気に、気の向くままに。



五月も中旬。
今日は土曜日。
知佳はアラームの音で目を覚ます。


時刻は午前十時。
唯一朝寝坊できる日。
バイトは午後二時からだ。


目をこすりながら体を起こす。
両親は仕事。
弟は遊びに行ったのか、家の中には誰も居ない。


顔を洗い、歯を磨く。
寝癖のついた髪を水で濡らし、整える。


コップに麦茶を注ぎ、知佳はリビングのソファに座る。
ゆっくりとした時間が流れていた。


いつもは楽しみなバイト。
だが、今日は楽しみが半減していた。


『結婚してないんだ?』


美樹の言葉が頭の中でリピートされる。
知佳は不安に押し潰されそうになっていた。
啓太が結婚していたとしたら、自分は啓太の事を諦められるだろうか?
何事もなかったように振る舞えるだろうか?
バイトが楽しいと思えるだろうか?
この数日間、そんな事ばかり考えている。


しかし、それを確かめなければ、前に進めない。


大丈夫。
いつも頑張っている啓太の事を尊敬している。
失恋したって、啓太の為に、店の為に、頑張れる。
< 7 / 25 >

この作品をシェア

pagetop